消費増税後に進むキャッシュレス決済

キャッシュレス決済の比率調査

2019年10月1日から消費税が8%から10%に増税されました。その前後から報道などで良く耳にするようになった「キャッシュレス決済」という言葉。そもそもキャッシュレスとは「物理的な現金(紙幣・硬貨など)ではなく、デジタル化された価値の移転を通じて活動できる状態」(一般社団法人キャッシュレス推進協議会)と定義されています。つまり、「お金を支払う時に現金ではない方法で行う」ということです。

このキャッシュレス決済ですが、日本では「現金決済」を選ぶ人が多く、なかなか普及が進みませんでした。それは世界と比較してみると明らかで、日本のキャッシュレス比率が約20%なのに対して韓国では約90%、中国では約60%、アメリカでは約50%となっています(2016年経産省)。日本政府はこの状況を打開するため、大阪万博が予定されている2025年までにキャッシュレス決済比率を40%とする目標を掲げており、更にその先、将来的には世界最高水準の80%を目指すとしています。

日本のキャッシュレス決済比率

日本ではなかなかキャッシュレス決済の導入が進んできませんでしたが、それでも経産省の統計資料によれば2008年には11.9%であったキャッシュレス決済比率が2017年には21.3%となっており、年平均成長率をみると6.7%ずつ上昇しています。内訳をみてみると、キャッシュレス支払額のうち約90%をクレジットカードが占めており、日本ではこれまでキャッシュレス決済といえば「クレジットカード利用」であったことが分かります。

政府がキャッシュレス決済を後押しするのには、消費者の利便性向上のためというのはもちろん、今後の少子高齢化を見据え、人手不足への対応、地域格差の是正など安定した社会の実現のためという目的があります。しかし、将来的に80%をキャッシュレス決済にするという目標値に達するには、クレジットカードだけでなく、デビットカードや電子マネーなどその他のキャッシュレスの手段が普及していく必要があります。ともあれ、今、私たちは時代の大転換期にいるといっても過言ではないでしょう。

キャッシュレス決済(ポイント)の利用方法

キャッシュレス決済が普及するには、「キャッシュレス決済で支払うとお得」ということが広く知られる必要があります。総合研究開発機構(NIRA)がすでにキャッシュレス決済を利用している人に「ポイント」利用について尋ねたところ、「支払い時の値引きに使用」と答えた人が全体の82.7%と大半を占めており、次いで「現金、金券類との交換」が53.2%、「景品またはサービスとの交換」が27.7%となっており、「お得感」を求めている人が多いことが分かります。この事からキャッシュレス決済の普及には「ポイント活用」によるお得感が非常に重要であるといえます。

キャッシュレス決済導入における補助金も

・キャッシュレス・ポイント還元事業とは
2019年10月に消費税が8%から10%に増税され、それに伴い、政府は「キャッシュレス決済・消費者還元事業」(以下、キャッシュレス・ポイント還元事業)を行い、消費者の増税による負担軽減とキャッシュレス決済の普及を目指しています。この制度により、10月1日の増税後から2020年6月末の9か月間、キャッシュレス決済で中小・小規模の小売店、サービス業者、飲食店などで支払いを行った場合、決済金額の一部が還元されます(消費者のポイント還元については後ほど詳しく説明)。

また、消費者だけではなく、事業者側にもキャッシュレス決済によるメリットがありますので、ここでは事業者側について説明します。

・加盟店手数料の一部や端末の補助も
キャッシュレス・ポイント還元事業の支援対象となる店舗は中小・小規模事業者です。

対象となる事業者には、1.加盟店手数料の補助、2.端末補助、3.キャッシュレスで支払った消費者へのポイント還元の原資を国が負担します。期間中の加盟店手数料は実質2.17%以下となり、決済端末の負担はゼロです(期間後については情報開示次第、確認してください)。

中小企業の中でもフランチャイズは対象外となるので注意が必要です。

※軽減税率対策補助金の概要についてはこちら

キャッシュレス決済はいくらポイント還元される?

対象店舗によって変わる還元率

それでは、キャッシュレス決済の消費者へのメリットとは何でしょうか。キャッシュレス決済で支払った場合のポイント還元についてご説明します。
キャッシュレス決済とは、クレジットカード、デビットカード、電子マネー(プリペイド)やスマートフォン決済、QRコード決済など様々な方法があります。元々、クレジットカード会社などの決済業者のポイント還元システムはありましたが、今回のキャッシュレス・ポイント還元事業では、国による最大5%のポイント還元が行われる点に注目です。

ただし、2019年10月1日~2020年6月末日まで9か月間の期間限定の事業です。
ポイント還元の対象となる店舗は、対象店舗は2019年12月11日の時点で約90万店舗となっており、このマークが目印となります。

また、還元率は、おおまかに以下のようになります。

・5%還元
中小企業(事前に「キャッシュレス・ポイント還元事業」への登録申請している店舗に限る)
※大手ECサイトにおいても、キャッシュレス・消費者還元事業の対象となる中小・小規模事業者が販売される商品をキャッシュレス決済により購入されたお客様を対象に商品の決済金額の5%分が還元される場合もございます。

・2%還元
フランチャイズチェーン店舗、ガソリンスタンド、コンビニなど。

・還元なし
上記以外の百貨店、大手スーパー、病院、金券ショップ、中古車販売、住宅など。

同じ店でも直営店かフランチャイズかで「還元がある場合」と「還元がない場合」に分かれるなど、対象となる店舗は上記の条件以外にも多岐に渡りますので、必ず「ポイント還元対象店舗検索アプリ」などで確認するようにしてください。
※マップサイト(一般社団法人キャッシュレス推進協議会

キャッシュレス決済のポイント還元の対象

キャッシュレス決済のポイント還元の対象

繰り返しになりますが、キャッシュレス決済は、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなど繰り返し利用できる決済手段のことを指します。ただし、登録申請し、認められた会社のキャッシュレス決済でないと対象となりません。

一般社団法人キャッシュレス推進協議会では、対象業者の一覧サイトを用意しているので、店舗に導入を検討しているキャッシュレス決済事業者が、キャッシュレス・ポイント還元事業の登録事業者かどうか事前に確認することができます。

※登録業者一覧(一般社団法人キャッシュレス推進協議会

キャッシュレス決済のポイント還元の対象外

キャッシュレス決済のポイント還元の”対象外”となるのは、大手の百貨店やスーパーだけでなく、中小企業であっても対象外となる場合があります。
キャッシュレス・ポイント還元事業は消費増税に関しての事業であるため、消費税がかからない分野に関しては対象外となります。たとえば、消費の概念になじまない土地や、政策的な意図のある教育費、医療費(公的医療保険の対象となるため)などです。また、住宅や車などもすでに減税措置があるため対象外です。

その他、商品券や切手、印紙、プリペイドカードなど換金性の高いものも、ポイント還元を目的に転売を繰り返す懸念があるため対象外です。

メルペイを使ってキャッシュレス決済

メルペイでは、キャッシュレス・ポイント還元事業によるポイント還元を実施しています。「キャッシュレス・ポイント還元事業」に参加しているお店にてメルペイで決済していただくと、ポイント還元により購入金額(税込み)の5%または2%を還元いたします。
※原則として5%、フランチャイズチェーン等に属する店舗は2%

還元されたポイントはメルカリでのお買い物、もしくはメルペイでの支払いにご利用いただけます。毎月のポイント上限額は最大30,000ポイントまでで、「コード決済」と「iD決済」のそれぞれのお支払い方法にて、毎月最大15,000ポイントまでの還元となります。

ポイント還元のタイミングは、
「コード決済」…期間中、毎週月曜日に前週の還元対象決済分のポイントを還元
「iD決済」…期間中、毎月25日に前月の還元対象決済分のポイントを還元します。

ぜひ、この「キャッシュレス・ポイント還元」をきっかけにメルペイを利用してみてください。

監修者情報

酒向 潤一郎(さこう・じゅんいちろう)
税理士 J’sパートナー総合会計事務所(酒向潤一郎税理士事務所)

一部上場IT企業に10年以上勤める傍ら、税理士として会計事務所の経営も行う複業税理士。最近では開業・副業コンサルに注力。会計専門誌など複数寄稿。趣味のJリーグを用いて会計や税金のしくみを優しく発信するほか、学童野球コーチのボランティアや現役選手として税理士会野球部に所属するほどの野球好きでもある。
(Twitter:
https://twitter.com/Jun_Jspartner)
(Note: https://note.mu/jun_jspartner)

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