キャッシュレス決済は「事業者」「消費者」双方にメリットあり

一口に「キャッシュレス決済」といっても色々な種類があります。「クレジットカード」「電子マネー」「デビットカード」、スマートフォンを使った「QRコード」などです。細かい仕組みは異なりますが、いずれも現金を使わずに取引できるという共通点があります。その特徴は、事業者と消費者双方にメリットがあるということです。キャッシュレスを推進している経済産業省も「消費者に利便性をもたらし、事業者の生産性向上につながる」と説いています。

事業者側の視点で見ると、店内での現金管理が楽になるというメリットがあります。紙幣や小銭を出さずにスピーディーな取引が可能なため、レジ対応時間やレジ締めの短縮、キャッシュレス決済が定着している外国人観光客の取り込みなど、あらゆるシーンにメリットが波及するのです。
また、購買履歴がデータ化されているため、デジタルマーケティングにも役立ちます。マーケティングの精度が上がれば、販促の効果も高まり、売り上げアップにつなげられるかもしれません。

一方、消費者の視点で見ると、利便性が向上するというメリットがあります。多額の現金を持ち歩かずに買い物ができるようになり、購買履歴情報がデータ化されるため家計管理も楽になります。利便性が向上すれば利用者も増えるはずです。そのことが伺えるデータがあります。それが、ジャパンネット銀行が2019年9月17日に公開した「キャッシュレス決済に関する意識・実態調査」(20〜50代の男女500人にアンケート実施)になります。

同調査によれば、普段の買い物や食事においてキャッシュレス決済を利用する割合は「よくある」が52%、「たまにある」が29%を占めることがわかりました。計81%が日常的にキャッシュレス決済を利用していることになります。

インバウンド需要の取り込みに最適

キャッシュレス決済に対応したお店の中には、訪日外国人観光客の需要を取り込み、売り上げ増大に成功しているケースもあります。キャッシュレス決済とインバウンド需要は非常に相性が良い傾向にあることが、分かってきています。経済産業省による、「各国のキャッシュレス決済比率の状況」では、2015年時点の日本人のキャッシュレス決済比率は18.4%。一方、韓国は89.1%、中国は60.0%、米国は45.0%と日本の倍以上、上回っていました。

そんなキャッシュレスに慣れ親しんだ諸外国の観光客が、いま日本で急速に増えていることはご存知でしょうか。観光局の調査によれば、2010年1〜12月の訪日外国人観光客は861万人。それが2018年は3,191万人まで増えています。政府は今後の訪日数を「2020年に4,000万人、2030年に6,000万人」と目標を掲げています。

では実際に日本に訪れた外国人観光客は、どのくらいの割合でキャッシュレス決済を利用しているのでしょうか。「JTB訪日旅行重点15カ国調査2019」によれば、現金割合が多い国が、台湾・韓国・香港の3カ国。この3カ国ですら、「現金以外の決済手段」を利用している割合が、台湾は45.0%。韓国は42.8%。香港で41.6%と高いのです。キャッシュレス決済比率が最も高いのが中国で、その割合は73.2%。その中でもクレジットカードが33.5%、モバイル決済が25.4%と続いています。キャッシュレス決済比率が高いその他の国としては、米国、ドイツ、インドネシアと続いています。

こうした外国人観光客は今後も増大すると予想されます。自社の店舗に外国人の来店が増え始めている店舗、またはこれから来店を増やしたい店舗は、キャッシュレス決済の導入を検討した方が良いかもしれません。

導入コストは案外低い?

キャッシュレス決済に対応するには「端末・システム導入費用」と「決済手数料(加盟店手数料)」の2つのコストがかかります。ここに抵抗を感じている中小・小規模事業者は少なくないでしょう。確かにキャッシュレス化の対応をめぐっては、店舗側はある程度の費用感を見定める必要があると言えます。それぞれの費用はキャッシュレス決済事業者によって異なるため、少なくとも複数社の料金プランを比較検討しておく必要はあるでしょう。

決済端末ひとつとっても、購入できるものもあればレンタル制をとっている会社もあり費用感は一概に言えません。決済手数料も同様です。「決済手数料5%」なら、キャッシュレス端末で取引した売上金のうち5%を決済事業者に収めることになります。この辺りのシミュレーションも視野に入れておきましょう。

決済事業者側も、導入コストを敬遠する中小・小規模事業者を念頭に置いた工夫を施しています。例えば、フリマアプリのメルカリが展開している「メルペイ」では、初期費用・固定費用ゼロ円で対応しています。決済手数料も1.5%と低めで、「キャンペーン対象事業者は『決済手数料0%』」という期間限定のキャンペーン(※)も実施しています。

また「なるべく費用をかけずに導入したい」と考える中小・小規模事業者の方は、経済産業省が主宰する「キャッシュレス・消費者還元事業」に加わると自己負担ゼロで決済端末の導入が可能になります。消費喚起とキャッシュレス推進の一環で、キャッシュレス・消費者還元事業に加盟した店舗でキャッシュレス決済された際は、消費者にポイント2〜5%が還元されます。ポイント還元の原資は国が補助します。2020年6月末まで行なっており、参加申し込みは4月末まで受け付けています。

決済事業者を比較検討するだけでなく、国の補助制度を活用することも、キャッシュレス化に賢く対応する立派な手段といえるでしょう。

キャンペーンの詳細についてはこちら

まとめ

キャッシュレス決済への対応は、導入コストのハードルさえクリアしてしまえばメリットがたくさんあります。自店舗の現金管理が楽になるだけでなく、消費者の利便性が向上するため顧客満足度の向上にもつながります。またキャッシュレス決済に対応していることが店頭で分かれば、キャッシュレスに慣れ親しんだ若年層や外国人観光客などの新たな客層を集客できる可能性もあるのです。是非、キャッシュレス決済の導入をご検討してみてはいかがでしょうか。

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