
中小・小規模事業者(個人事業主)が知っておきたいキャッシュレス決済の導入について
キャッシュレス・消費者還元事業によるポイント還元制度や決済事業各社が独自に実施するさまざまなキャンペーンにより、世間での注目が高まりつつあるキャッシュレス決済。レジでの支払いがスムーズに行え、店舗側の業務も効率化できるため、今後ますますキャッシュレス決済の需要は高まっていくと見られています。
国もキャッシュレス決済の普及に注力しており、消費者、事業者の双方にプラスになるような施策を行っています。キャッシュレス決済の導入を検討している事業者の方にとっては、今が絶好の機会と言えるかもしれません。
今回は、事業者がキャッシュレス決済を導入するメリットや導入の流れについて紹介します。
キャッシュレス決済導入のメリット
国が支援するキャッシュレス決済の導入キャッシュレス決済を店舗に導入するには、キャッシュレス決済を提供する会社や決済代行会社などの事業者と契約し、決済端末を導入する必要があります。通常であれば、端末の導入費用などがかかりますが、今なら中小・小規模事業者を対象に、費用の一部を国が支援してくれる「キャッシュレス・消費者還元事業」という仕組みがあります。2020年6月30日までの期間中であれば、店舗のキャッシュレス決済端末導入にかかる費用や決済手数料の補助が受けられます。ただし、事業者の加盟店登録は2020年4月末までとなっています。
キャッシュレス決済の今後経済産業省が2018年4月11日に公表した「キャッシュレス・ビジョン」で、大阪・関西万博が開催される2025年までにキャッシュレス決済比率を40%(現在のおよそ2倍)とする目標を掲げました。将来的には、世界最高水準の80%を目指していくと宣言しています。
ゆくゆくは、キャッシュレスを起点として、支払データ等を利活用するビジネスや、データ分析を通じた新しいサービスの創造等を喚起する取り組みを促進していく計画です。
事業者がキャッシュレス決済を導入するメリットは、大きく分けると以下の4つがあります。
・端末導入の負担ゼロ
キャッシュレス・消費者還元事業の期間中、一部のキャッシュレス決済事業者では、キャッシュレス決済端末の導入費用の3分の1を決済事業者が、残り3分の2を国が負担してくれるため、事業者は実質的に無料で端末を導入することができます。
・決済手数料3.25%以下
キャッシュレス・消費者還元事業の期間中は、キャッシュレス決済事業者に支払う加盟店手数料が3.25%以下となり、さらに国がその3分の1を補助してくれるため、実質的な手数料は2.17%以下となります。
・消費者ポイント還元による集客向上
消費者に対しては、中小・小規模事業者で利用した場合、支払い額の5%(フランチャイズ等の場合は2%)のポイント還元が行われるというメリットがあります。対象店舗にはポスターやステッカーが配布されるので、それを目印として掲出することで、集客向上にも繋がります。
・業務効率化
現金によるやりとりが減るため、支払いの際のレジでの会計処理や、レジ締めなどの業務を効率化することができます。

キャッシュレス・消費者還元事業への登録手続きの流れ
事前確認と登録手続きの流れについて店舗にキャッシュレス決済を導入する流れは、以下の通りです。
・自分の店舗が対象か否か確認
キャッシュレス・消費者還元事業の補助の対象となるかどうかを確認する必要があります。資本金の額または出資の総額、あるいは従業員数による規定があり、業種によって異なります。
・自分の店舗のキャッシュレス決済対応状況を確認
キャッシュレス決済に該当するのは、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、QRコードなどの電子的に繰り返し利用できる決済手段となっています。すでに利用している決済手段を継続する場合と、新しく導入する場合では、その後の流れが異なります。
・自分の店舗で加盟店IDを取得しているかを確認
自分の店舗で既にキャッシュレス・消費者還元事業の13桁加盟店IDを取得している場合は、決済事業者にIDを伝え、取得していない場合は、決済事業者経由でIDを発行し(※)、導入したい決済事業者別にキャッシュレス・消費者還元事業の加盟店登録を行う必要があります。
新たに契約したい決済事業者がある場合は、本制度の公式ページから対象の決済事業者を選び、手続きについてお問い合わせください。
(※)事業者にもよりますが、早ければ翌日に加盟店IDが発行されます。
・登録審査
キャッシュレス・消費者還元事業事務局で登録審査が行われます。審査には1~2ヶ月程度要する場合があります。
・登録完了
登録が完了すると、決済事業者を通じて加盟店登録完了のお知らせと消費者還元の開始日が通知されます。

キャッシュレス決済「メルペイ」
日本最大のフリマアプリ「メルカリ」から誕生したスマホ決済サービス「メルペイ」。「メルカリ」での売上金をメルペイ加盟店での支払いに使える(※1)ので、1,450万人(※2)のメルカリユーザーをはじめ、多くの利用者の集客を見込むことができます。
現在は加盟店さま向けのキャッシュバックキャンペーンを実施中なので、よりお得にキャッシュレス決済を導入することができます。
「メルペイ」導入のメリット・決済手数料が今なら0%
キャッシュレス・消費者還元事業の期間中は各決済事業者の決済手数料が3.25%以下となりますが、対象期間に関わらずメルペイでは決済手数料が1.5%に据え置きされます。また、2020年3月31日までにメルペイ加盟店に申込みが完了していれば、2020年6月30日までの期間中、決済手数料が0%に。実質的にランニングコストなしでキャッシュレス決済を導入することができます。
・決済金額の5%をキャッシュバック
キャンペーン期間中は毎月のメルペイ決済金額の5%を加盟店にキャッシュバック(上限金額は1店舗あたり月3,000円)。つまり、今ならメルペイを使っていただけばいただくほど店舗が得をするキャンペーンになっています。
キャッシュバック金額の総額が10億円に到達した時点で、5%キャッシュバックは終了してしまいます。政府のキャッシュレス・消費者還元事業にも期限があるので、キャッシュレス決済の導入を考えている方は、この機を逃さないように、早めの検討をおすすめします。
※1)売上金を「メルペイ」でご利用いただくには、所定の設定またはポイント購入をしていただく必要があります
※2)出典:JP版メルカリ事業の通期決算概況(FY2019.9)より
酒向 潤一郎(さこう・じゅんいちろう)
税理士 J’sパートナー総合会計事務所(酒向潤一郎税理士事務所)
一部上場IT企業に10年以上勤める傍ら、税理士として会計事務所の経営も行う複業税理士。最近では開業・副業コンサルに注力。会計専門誌など複数寄稿。趣味のJリーグを用いて会計や税金のしくみを優しく発信するほか、学童野球コーチのボランティアや現役選手として税理士会野球部に所属するほどの野球好きでもある。
(Twitter: https://twitter.com/Jun_Jspartner)
(Note: https://note.mu/jun_jspartner)