永楽交通株式会社は、現在乗務員数約140名、車輌数45台を抱える仙台のタクシー会社です。
「いつでも間にあうあなたの車」をキャッチフレーズとして地域密着の営業を続ける同社は、ほぼ100%の稼働率を誇り、仙台市民の足として親しまれています。
メルペイは、2019年11月に全台に導入いただきました。今回は永楽交通株式会社の業務課長・佐々木さんと乗務員の相澤さんにお話を伺いました。

お客さまの利便性を高めるキャッシュレス化推進

御社でスマホ決済の導入を推進されている理由はなんでしょうか?

【佐々木】まずは、政府が推奨しているキャッシュレス決済を進めていきたい、という思いがありました。

タクシー会社っていわゆる「現金商売」のイメージが強いと思うんです。ただ、そういう現金しか扱わないタクシー会社だと、キャッシュレス決済が増えて現金がすぐに入らない状況になった途端に資金繰りが悪くなってしまい会社が回らなくなり、どんどん淘汰されていくと思っています。

タクシーにおけるキャッシュレス化が普及していくことで、導入している会社は安定している、信頼できる会社であるという安心感に繋がると考えています。お客さまに選ばれる会社であり続けるには、そうした信用を作っていくことが大切ですからね。

あとは、クレジットカードって正直面倒なんです。クレジットカードを使うとなると、「カードを機械に読ませる」「お客さまにサインをいただく」「控えをお渡しする」と手間が3度かかる。我々だけでなく、急いでいるお客さまにとってもご不便をおかけしてしまいます。

しかも、場所によっては端末機に電波が届かないところがあるんですよ。仙台駅の降車場には結構高い屋根がついていまして、そういう場所だと電波が入りにくいので、少し移動して読み込ませるという手間がかかるんです。うまく読み込めずに、2回、3回とやり直しをすることもしばしばです。

その反面、スマホ決済の方は安定してかつスムーズに決済ができる。その点にメリットを感じ、導入するに至りました。

永楽交通株式会社 業務課長 佐々木さん

現金での取引は減っているのでしょうか?

【佐々木】元々は、現金・クレジットカード・タクシーチケットの3種類の決済方法を取り扱っていました。タクシーチケットは年々取り扱いが減っていますがね。

スマホ決済を始めてからは、クレジットカードも現金も減っていますね。現金の取り扱いが減ったことで、帰庫後の納金作業も楽になったように感じます。決済回数では間違いなくスマホ決済が増えています。

メルペイにはどのようなことを期待していましたか?

【佐々木】メルカリユーザーの集客も期待していました。特に若年層の女性ですね。

我々のタクシーのご利用は、やはり年配の方が多いので、これまであまり利用されてこなかった若い女性の方がタクシーに乗るきっかけとなれば良いなと考えていました。

【相澤】私は夜間専門で乗務していますが、一番多いのは、夕方の買い物帰りのシニア層の方ですね。ただ、メルペイを導入してから、若い方が少しずつ乗ってきているという印象はあります。

乗務員もはじめは不安だったが、すぐに現金より便利と気付く

メルペイのような新しい決済方法を乗務員の方へはどのように教育されているのでしょうか?また、導入時に乗務員の方から不安の声は挙がりましたか?

【佐々木】弊社では、月に1回必ず乗務員を集めて「点呼」という形で会議を実施しているんです。新しい決済の導入時には、そういった場で説明をし、あとは各自確認してもらう、という形を採っています。

先行導入で既にスマホ決済というものに結構慣れていたので、メルペイ導入時には特にオペレーション面での不安はありませんでしたね。

【相澤】そうですね。操作自体にはすぐに慣れてしまいますね。

ただ不安として残るのは、ちゃんと決済できているかどうか。決済音もお客様によっては消してしまっていたり、小さくすることもできますからね。なんとなく不安が残ったときは決済番号を控えておくことはあります。

【佐々木】不安な乗務員は多いんですよ、本当にちゃんとできているか。今でこそみんな慣れてきていますが、初めての導入の時は乗務員は大変だったと思います。

それこそ始めは一部で「扱いたくない」という声もありました。それで車内のQRコードを隠しちゃうんですよね。隠したまま無くしてしまったり。弊社の車両は固定ではなくて、一台にいろんな乗務員が乗るので、次に乗る乗務員からQRコードがないと連絡があって、新しく作り直す、なんてこともありました。

ただ、やっぱり1回2回やって経験を積んでくると、簡単だということがわかってくるんでしょうね。そうすると、そのように隠したりすることはなくなっていきましたね。

ちなみに、決済ができているか不安という声はすぐに解消することができました。

メルペイであれば、決済がしっかりできているかどうかは、電話や無線で「何時何分いくらの支払いはできているか」と確認してもらえれば、そのまま社内のPCで調べられますから。ダイレクトに、時間を置かずに乗務員に伝えられるのはメリットとしては大きいです。乗務員側の不安感も大きく拭えたかと思います。クレジットカードはすぐに社内で確認する、ということは出来ませんから。

メルペイで降車がスムーズに 営業機会も増加

導入後実感されたメリットは他にもありますか?

【相澤】やっぱり決済が早いですね。現金よりもずっと早い。

現金だと、降りるところでメーターを止めて、初めてそこで現金のやりとりが始まる。だから、止まってからの時間がかかるんです。お釣りを出す必要がある場合は、1〜2分程度かかることもあります。

スマホ決済だと、目的地に着く前にお客さまがスマホを用意しておけるので、到着したら確認するだけですよね。ものの数秒なので、すぐに降りることができるんです。

停車時間が少ないというのは本当にメリットが大きい。お客さまに指定されて、止むを得ず駐停車禁止の場所に停車せざるを得ない時もあるんですが、そうすると交通の妨げになってしまうこともありますからね。

【佐々木】時間がかからないということは、数多くのお客さまを乗せられるということ。つまり、営業機会が増えるということです。

それから、お釣りの面でもメリットがありますね。

一万円札とかでお支払いいただいたときに、たまたま手持ちがないときもあるんですね。そうしたとき、どこかに立ち寄って両替をしなくちゃいけない、ということがなくなるので助かります。

【相澤】それから、今だと新型コロナ感染が心配されているので、極力現金の取り扱いは控えたいのが正直なところです。お客さまも受け取るに抵抗あると思いますよ。

スマホ決済であれば、何かを受け渡すという行為がなくなるので、この点でも安心です。最初のころの抵抗感は全然ないですよ。現金より圧倒的に楽です。画面を確認するだけでいいですからね。

クレジットカードだと与信限度額の問題で決済ができず、運賃を回収できなかった、なんてこともあると聞きます。その点、スマホ決済はどうでしょうか?

【相澤】 スマホ決済の場合、お客さまが残高を把握しています。残高が頭に入っているので、「この料金ならQRで払っていこう」と言って払っていく。

使える範囲内でだけ使っていくので、クレジットカードのようにいざ支払いの場面になってから使えないことが分かり、結果的に運賃が回収できなくなってしまう、というリスクも少ないと思います。

お客さまが支払い手段でタクシーを選ぶ時代へ

タクシー車両を拝見したときに、メルペイのステッカーを貼っていただいていたのですが、窓のステッカーは見られているものなんでしょうか?

【相澤】結構見られています!

お客さまは窓ガラスを見て、「あ、扱ってる!だったらこのタクシーに乗ろう」と、自分が使いたい支払い方法に応じて、選んでタクシーを乗るようになってきています。お客さまは不安ですからね。自分が使いたい決済方法で支払えるのかと。

そんなときに、どこを見たら良いかというと、窓なんですね。

それから、乗車した後にタクシーの窓や社内に貼ってある掲示物を見て、「メルペイ使えるんだ!」と初めて気が付く方も多いですね。まだまだタクシーでメルペイが使えることを知らない方が多いですが、知ると喜んで使ってくれますよ。

メルペイ側でキャンペーンをしているときなんかは、四苦八苦しながら使おうとしてくれたりします。そんなときはお客さまと一緒に決済までやったりしますね。大変ですが、それも慣れます。それに、一度お客さまも使えるようになってしまえば、また次も同じ決済方法で乗ってくれるようになりますからね。

タクシー車内のステッカーやQRコード
今後、メルペイに期待することや改善点があれば教えてください。

【佐々木】「タクシーでも使えますよ!」ではなく、「ぜひタクシーで使ってください」というような宣伝やキャンペーンを実施してもらえると嬉しいですね。用途をタクシーに絞って。そうすると、今後さらに選んでもらいやすくなるんじゃないかと思っています。

【相澤】もっともっと周知させていって欲しいですね。まだまだメルペイでタクシーに乗れるということをユーザーさんはわかってないと思います。乗ってきたときに「使えるんだ」と知る方が圧倒的に多いのが現状です。

永楽交通さまの今後のビジョンを教えてください。

【佐々木】キャッチフレーズが「いつでも間に合うあなたの車」ということで、地元優先・地元密着で、お客さまに選ばれるタクシー会社であることを心がけています。

お客さまに「待たせない」「迷惑をかけない」ことを意識しつつ、乗務員もさらに働きやすいタクシー会社を目指していければいいと思っています。

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